絵文字の肉に込められた憧れ

メールなどで使われる絵文字やスマートフォンのアプリで使われるスタンプなどで見かける肉のイラストは、多少のバリエーションはあるものの、大抵、こんもりと丸みを持った肉塊の真ん中に太い骨が貫通した形状となっています。実際に焼肉店などで牛や豚を賞味する機会にはあまり見かけない形ですが、一部では「マンガ肉」などと呼ばれ、往年のアニメやマンガのファン同士の会話では「あの肉」で通用するほど、有名な形となっています。昭和の高度成長期に子ども時代を過ごした人であれば、原始時代を舞台にしたファミリー系ギャグアニメをすぐに連想し、元祖となったシーンなどを懐かしく思い起こします。その当時を知らない世代や、マンガでよく表現される形状らしいという認識はあっても、何の肉かは判然としないまま過ごしている人も多くなっています。
現代では、あの形で食べてみたいという人向けに、一部の飲食店やメーカーなどから、豚や牛などのそれらしい形のものに太めの骨を刺して再現されたものが供されていますが、元々のマンガやアニメから考察すると、そもそもはマンモスの肉ということになります。元祖となった作品の舞台は原始時代で、仲間と力を合わせて仕留めたマンモスを切り分け、皆で宴会をするシーンがありました。とは言え、作品内でよく登場していた形状は、マンモスの巨体が切り分けられた感じが伝わる輪切りの状態で、雰囲気としては、厚切りハムの大型版といった風情がありました。絵文字でよく見かけるあの形状は、昔のマンガでは「骨が付いている塊」ということで、ひと目で肉と判ることからあらゆる作品に登場しており、その中でもマンモス狩りと宴会のシーンが印象的だった原始時代アニメの思い出が強く残っている人が多かったことで、あの形状と言えばそのアニメと連想されるようになったと考えられます。
マンガやアニメで登場する料理やスイーツは、色鮮やかに描かれていることや、登場人物らが美味しそうに食べるシーンが印象的な作品が多いことから憧れる人が多く、まったく同じ通りに再現して賞味する人も少なくありません。絵文字で知られるあの形状の肉も、なるべくそっくりの形になるよう工夫して再現され、人気メニューとなっている飲食店が全国に点在しています。ブロック肉に太目の骨を差し込んでから焼くと、良い形を保って焼き上げるのが意外に困難なことから、骨の周りにベースとなる肉を付けて、そこに薄切り肉をグルグルと巻いて形を整えてから焼いたり、ハンバーグの種のようなものを付けてミートローフ状になっているものや、ゆで卵などでボリュームアップしているものもあります。要は、太目の骨にこんもりと丸い肉が付いているあの形が重要ということで、味が良ければ牛や豚、あるいは鶏など、種類も部位も問わず、中身に別の具材が入っていても構わないといった自由な楽しみ方がなされている印象です。原始時代が舞台のアニメで登場したものを厳密に再現するのであれば、素材はマンモスに限定されるということになり、現代では到底、再現不可能となります。永久凍土が解けて保存状態の良いマンモスが出土したことがかつてニュースになりましたが、仮にその細胞からクローンのマンモスが誕生するようになり、食肉用が生産される未来が到来したとしたら、素材も形状も完全に再現されたものがお目見えする可能性が無きしも非ずと考察されます。
絵文字の元祖は、希少というよりは、現状、絶対に再現できないものですが、現代で一般的に賞味できる牛などでも、通常はなかなか口にすることができない希少部位があります。昨今のグルメブームや、インターネットでのお取り寄せの台頭などによって、そういった種類も一昔前に比べれば賞味しやすくなっていますが、大型の牛であっても取れる部位そのものが非常に少なく、ブランド牛などでは争奪戦になるものもあります。そういった部位の中で、比較的、賞味する機会に恵まれているものに「ミスジ」があります。お店の目玉になる!希少部位ミスジの魅力を徹底分析にもありますが、ミスジは、牛の前足、肩の付け根にあたる肩甲骨の内側に位置している部位で、1頭から数百グラムしか取れない希少なものです。そのため幻の部位とまで言われ、前足付近といえども普段はあまり動かさない部位であることから、非常に柔らかい食感を持ちます。その名の由来となった特徴的な3本のスジがわかる形状でスライスして、ステーキで賞味することが一番と言われ、霜降りの入り方が絶妙な部位ということで、口に入れると、まさにとろける食感が味わえます。ツウはステーキソースではなく、極上の塩や、シンプルなワサビ醤油などで賞味すると言われます。
貴重な部位であるミスジも、卸業者の直販ショップなどからのお取り寄せができるようになり、自宅で味わうことができる時代となっています。極上の味わいを持つ幻の肉を絶妙の加減で焼き上げる腕前が必要ですが、料理自慢の人には、挑戦しがいのある部位と言えます。牛肉のミスジと通販ショップの情報を日ごろからマメにチェックして、良いものが販売されている時期を逃さずキャッチして購入することで、夢の美味三昧が実現できます。